最後にイージス・アショアの配備についてお伺いします。
イージス・アショアの配備については様々な考えがあって然るべきことだと思っています。同年代の人たちや、保護者の人たちと意見交換をする際に必ず出る話題がこのイージス・アショアであるわけですが、話をしていて感じるのは、得体の知れないものが配備されてしまうことへの恐怖というのは非常に大きいということです。
しかし、その配備の必要性を丁寧に説明し、必要性があるからこそ個人としても会派としても、住民の安全を最優先とし、住宅地以外の候補地がないかどうかも含めて現地調査をしたり、他の様々な可能性の検討をしていることを伝えると、ちゃんと理解してくれます。
六月の一般質問、そして九月の総括審査でも知事の姿勢や防衛に対する考えをお伺いしてきましたが、今の子ども達に胸を張ってバトンを渡すためにも、再度、知事の認識をお伺いします。
防衛省による再調査も始まり、私たち自民党会派が提出した「ゼロベースでの再調査を求める意見書」も議会として採択されました。
様々な集まりに参加すると高い確率で、請願陳情に対して意見を明確にすべきだという意見や、撤回を求める意思表示をするべきだという意見を頂戴します。しかし、私はこの考え方には少し疑問を持っています。
確かに、反対を表明することや撤回を求める意思表示をすることは状況によっては必要だと思います。しかし、今は再調査の段階であり、その結果は出ていません。
イージス・アショアの配備の必要性を認めているからこそ、軽々には反対はできません。
また、撤回を求め、防衛省が「はい分かりました」となれば話は簡単ですが、そうはいかないという可能性も十分あります。
仮に、撤回を求める意思表示を正式にしたとして、防衛省が撤回せずに再調査の結果を説明させて下さいとなった場合、議会としても知事としても、防衛省が撤回を正式に表明するまで、その説明を聴く理由が論理的にはなくなってしまいます。そうなると交渉する窓口がなくなってしまう危険性もあります。反面、防衛省側にも強硬に進めるための口実を与えることになってしまいます。
私たちがやるべきことは、ギリギリのラインだとしても最後まで諦めずにこちらの要望や意見をしっかりと伝えて住民の安全の確保を最優先に交渉や協議を続けていくことではないでしょうか。
一八〇〇年代後半にイギリスで首相を務めた、ベンジャミン・ディズレーリの言葉に、
「最悪の事態を想定し、最善を尽くす」という言葉があります。
この言葉を念頭に考えると、私たちにとっての最悪の事態とは、「県道の付け替えもせずに、新屋演習場の土地の範囲に、住民が納得しない形で強行的に配備されてしまうこと」であると考えています。
そうなると、安全対策上も防衛政策上も中途半端な装備が増えるだけになってしまいますし、住民の防衛省や自衛隊に対する信頼度、今まで積み上げてきたものが一気に崩れてしまうということになってしまいます。
そのような結果だけは、全ての人にとって絶対に避けなければいけないことです。
だから、私たちは最後の最後まで住民の安全の確保を一丁目一番地として、そして真の意味で国防に資する形での配備を望み、交渉を続けていくべきだと考えます。全ての人が納得する結果は出ないかもしれませんが、互いに交渉していくという姿勢は崩してはいけません。
そういった意味で、知事の防衛省に対する毅然とした姿勢は一政治家として、とても勉強になっています。
先日の菅官房長官の会見と、河野防衛大臣の記者会見でのいわゆる「住宅地との距離を考慮する旨」と「完全なるゼロベース」の発言は、非常に大きくかつ重要な発言だと感じました。住民の安全の確保を最優先にゼロベースでの再検討を求める意見書を提出したことが国も防衛省も動かしているのだと確信しています。
反面、互いのスケジュールの都合があるので厳しいことは言えませんが、河野防衛大臣との折衝は未だに行われていません。折衝は、調査結果が出てからでは遅いと言わざるを得ません。様々な事情があるということはご察ししますが、是非ともスピード感を持った対応をお願いします。
来年の三月二十日には、防衛省による再調査が終了し、その後報告がなされる予定となっています。住宅地との距離を考慮すれば、新屋演習場が最適地ではなくなる可能性はありますが、こればかりは防衛省の最終の説明を聞かなければ分かりません。
また、官房長官も河野防衛大臣も住宅地との距離は考慮すると発言していますが、秋田県へ配備することが日本全体の防衛力を高める上で重要であることについては、現時点では変わっていません。
政治的な判断をする上で仮定の話をできないのは、重々承知をしていますし、九月議会での沼谷純議員との総括審査でのやり取りでも、県から代替地を提案する必要性はない旨の答弁もありましたが、私は最悪のケースを避けるために、喫緊にではありませんが、代替地の提案や県有地の取得、その他様々な条件の提案や交渉などを、県側からも示すべき時がくる可能性もあると思っています。
また、先週の定例記者会見の発言について、一部新聞報道の見出しでは「県有地を売却できない」とありました。
しかし、会見の全体の流れを見ると知事の真意とは違うように受け取ることもできます。
一般質問初日の工藤議員への答弁でも触れられていましたが、住民の安全安心を最優先するというのは誰もが思うところでありますし、国に地元の声を反映してもらうというのも当然のことであります。
一方で、こうした報道だけが先行することで発生してしまう、新たなリスクというものも考えられます。
「県有地を売却できない」との見出しで報道された、先週の定例記者会見について、改めて知事の発言の真意をお聞かせください。
また、新屋演習場以外の県内の候補地が示された場合、どのような姿勢で交渉に臨む考えなのかお聞かせください。
以上で私からの一般質問を終わります。
ご清聴ありがとうございました。
【前文】
【子どもに優しい秋田県に向けた取組について】
【答弁】子どもにやさしい秋田県に向けた取組について
【答弁】「参加する権利」の確保に向けた取組について
【児童虐待対策について】
【答弁】いじめの認知件数の増加要因と改善方法について
【答弁】いじめに対する相談体制について
【不登校の子どもへの対応について】
【答弁】不登校の子どもの増加要因とその対応について
【答弁】スクールソーシャルワーカーの増員について
【イージス・アショアの配備について】
【答弁】イージス・アショアの配備について