次に、「働きがいも、経済成長も」の観点から、今後の企業誘致、仕事の誘致についてお伺いします。
日本に比べて海外の方がコロナ禍の影響が大きいこと等を鑑み、製造業のサプライチェーン見直しの動きが加速化していますし、六月の一般質問での答弁から、知事の前向きな姿勢を伺うことができました。
経済産業省は本年度の第一次補正予算で「サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金」を創設しております。
これは、サプライチェーンの安定化を図り国内製造業を強靱にする取組ですが、私は更に国内拠点の分散化が必要と思っています。
製造業の工場に関しては、大きな技術革新がなければリモートワークという訳にはいかず、必ず人が工場に出勤しなければなりません。
直近の工業統計によると、国内の製造品出荷額のうち、約八割が関東、中部、関西に集中しており、新型コロナの感染事例が多い地域です。
万が一、クラスター感染が発生し、工場を封鎖せざるを得なくなる場合や、災害の場合に備え、サプライチェーン安定化のために分散化が必須であると考えています。
関東、中部、関西の企業も、このようなリスクヘッジは考えていると思いますが、新型コロナにより経営が苦しくなっている状況では、工場新設という新たな投資策を打ち出すのは厳しいことも推察できます。
そこで提案ですが、秋田県では工場新設という企業誘致に加えて、「仕事の誘致」に力を入れてはどうでしょうか。
具体的には、県外企業の製品を秋田県企業が製造する、いわゆる「OEM生産」が増えるようマッチングを進めることです。
これにより、県外企業は新たな投資をしなくても製造拠点の分散化が可能になるというメリットがあり、県内企業は新たな製品の製造による技術向上や売上増加というメリットがあります。
秋田県として雇用の増加も見込めますし、企業誘致に比べ県内中小企業の支援にも繋がると考えます。
今後の企業誘致及び仕事の誘致について、産業労働部長のご認識をお聞かせください。
答 弁
仕事の誘致については、県内企業に対し、生産性の向上や技術力の強化、販路開拓等の支援を通じ、県外からの受注拡大を進めてきたところであり、OEMもその一つであると考えております。
また、企業誘致においても、設備投資や人材確保等の支援に加え、県内関連企業とのマッチングを図りながら進めてきたところであります。
現在の新型コロナウイルス感染症の拡大は、企業の経済活動に大きな影響を及ぼしており、BCPの観点から、生産拠点の分散化や調達先の多元化等、サプライチェーンの再構築が着実に進むものと見込まれ、その収束後においても、カーボンニュートラルへの対応等と相まって、産業構造の変革を引き起こすものと予想しております。
県としましては、こうした社会・経済情勢や産業構造の変化を機敏にとらえ、リモートワークの普及を起点として、サテライトオフィスから拠点形成、本社機能等の移転までを見据えた積極的な誘致活動を進めるほか、自動車のEV化や、感染症に対応した医療機器・医薬品など、成長分野や新たなビジネスにチャレンジする県内企業を強力に支援し、仕事の誘致に一層努めてまいります。