2025.11.05
熊を愛する皆さまへ
現在、秋田県を中心にツキノワグマによる人的被害や経済的被害が多発しています。
私が住んでいる秋田市でも、今まで熊が出没しなかった地域へもツキノワグマが出没している状況です。いわゆるアーバンベアです。人間に対して何ら恐怖心を抱かず、むしろ人間を餌だと思っている可能性がある個体も確認されています。
朝の新聞配達中に被害に遭ったり、家を出たところを襲われたり、生業としている農作物の食害に遭ったり、学校へ行くのも不安であったり。
子ども達も自由に外で遊べず不安な状況がずっと続いています。
普通であれば友達と歩いて登下校できるのに親が車で送迎をしなければならず、保護者の方たちも仕事の調整をしながらやりくりしてますが、それが何週間も続き疲弊している家庭もあります。
そんな中、昨夜、学校に行く子どもより早く家を出なければいけない仕事をしているという、小学生5年生の男の子を育てているという、ひとり親家庭の方からこんな連絡をいただきました。
「息子を送ってあげたいけど、仕事をしなければ生活が出来無いので毎朝不安な気持ちで玄関を出ている。ちゃんと学校に着いたか、ちゃんと帰ってるか不安な中で仕事をしている。早く熊問題をなんとかして欲しい。頑張って欲しい。」と。
また別の方からは先日、「若い頃から代々守ってきた山の果樹園を熊の出没によって諦める。その方は、涙ながらに生きていけない、先祖に申し訳ない。」と言っていました。
熊が出ない地域の人たちには絶対に想像ができない事だと思いますが、これが現実です。
一昨年の大量出没時はここまで被害や出没範囲も広くありませんでしたが、今年は異常なくらい熊が出没し、出没範囲も拡大しています。
可愛い熊を駆除するな!と思う人も中にはいますが、そんな状況ではないのです。
報道では「命に別状はない」とされますが、顎がなくなったり、一生消えない傷がついたり、失明(目がなくなる)をしています。実際の写真を見せたいくらいです。
子熊くらいは助けて欲しいという気持ちも分かりますが、人里で生まれ育った熊は人を恐れず簡単に餌が得られる事を学習し、山に返した所でまた必ず戻ってきます。
何よりも子熊と言っても、鋭い爪が皮膚に入ってしまえば肉を持っていかれます。実際に10年くらい前に友人の祖父は、子熊にふくらはぎの肉を引きちぎられています。
可愛い、可哀想だけでは済まされない現実が秋田にはあるんです。
そして、今年は特に毎日対応に追われ、猟友会の皆さんの協力はあるもののマンパワーが足りない状況ですし、警察官も見回りを強化してますがあちこちで出没するため全ての地域で迅速に対応できない状況でもあります。
もちろん県や各市町村の職員も県民市民の安全安心の確保のために全力を尽くしてますが、かなり疲弊しています。
そして、いわゆるクレーマーからも毎日朝から晩まで電話が鳴り止まない状況ですし、最近は関係ない部局までクレームを入れる始末です。
私のところにクレームを入れる分には何ら構いませんが、人命を現場で預かっている行政や猟友会の方へクレームを入れるのはやりすぎですし、単なる迷惑行為ですので、今すぐやめてください。
それだけは心からお願いします。
秋田県はこれまで、野生動物との共存をするために森林環境の整備や食害の防止策を行なった上で、人里付近に出てきた熊の駆除を行ってきましたが、そうした取り組みをまともに理解しようともせずにクレームを入れてくる方たちには、本当に人間なのか?と思う時があるのが正直な所です。
また、的外れなアドバイスや既に取組んでいる施策等を世紀の大発見のごとく言ってくる人もいますが、どんな取り組みをしているのかなどは、県庁や各自治体のウェブを見たら分かる事ではないでしょうか。それすらせずに、鬼の如く批判をするのは悪質であると言わざるを得ません。
熊が出ない地域で暖房に当たりながら、自然保護など叫ばないでください。秋田県は自然を守ってきましたし、これからも守っていきます。
大切なのはツキノワグマに限らず、我が県固有の自然や生物を守りながら「種との共存」をすることであり「個体との共存」ではありません。
そして何より一昨年、昨年のクレームと比べると明らかに質がおかしくなってます。
今までは、「熊を駆除するな」「保護して森に返せ」「どんぐりばら撒け」「絶滅させる気か」といった熊中心のクレームが主でした。そうした声は「生命を守りたい」という思いのもと、納得はしませんが理解はできます。
しかし今年は、秋田県では熊の出没とは関連性のないメガソーラーや風力発電に関連付けてクレームを入れたり、最近では移民や外国人問題などを絡めてくる人も現れはじめました。立法事実を無視し、感情任せにクレームを入れてくるような本当にどうしようもない人までいます。何よりも、有名人までもがそうした情報を鵜呑みにし自身のブログで秋田県を念頭に置いてるであろう記事を掲載し、スポーツ新聞のネット記事として紹介されるような始末です。
こうした言動は現実が見えていないばかりか、熊の問題だけではなく、メガソーラーや風力発電が抱えている問題や外国人問題の解決にも悪影響しかありませんし、全く理解出来ません。
私個人は、X(旧Twitter)で普段から口も悪く、こうしたクソクレーマーの逆鱗に触れる事もあるのかもしれませんが、言葉遣い以前にクソクレームを入れる現実を見ない妄想主義の方達が圧倒的に悪いと思ってますし、これからもそうした方たちとは徹底的に戦っていきます。
謂れのないデマや迷惑行為で職員さんや猟友会の方たちを傷付ける人たちとは徹底的に戦います。
実際に電話でクレームを入れてくる人たちの多くは、県外在住で状況を把握せずに理想論ばかりを語りますが、先に書いたような不安を抱えている方たちや、日々の生活に支障が出ている人がいるということも少しは想像してください。
我々は人命第一、市民県民の生活が最優先です。
熊を可哀想と思う前に、人間にも少し優しさを向けてください。熊を絶滅させようとなんて思っていませんし、人里付近に生息している熊や、生活に支障をきたす熊を駆除しているということをご理解ください。
熊さん可哀想ポエムを書く前に、地方の取組みと客観的な事実を少しくらい調べてください。
それでもやっぱりクソクレームを入れたいと思うなら、せめて、行政や協力してくれる猟友会や自衛隊にクレームを入れるのだけはやめてください。バッサリ否定しますが、私で良ければ話だけは聞きます。
最後になりますが、熊の問題を解決するためには何よりも県民、市民の皆さまのご理解とご協力が不可欠です。
安心して子ども達を外で遊ばせるためにも、安心して日々の生活を送れるようにするためにも、どうぞよろしくお願いします。
