先日、令和元年の人口動態統計の概況が発表されました。
出生率、婚姻率、自然増減率は全国最下位
死亡率、がん死亡率、脳血管疾患死亡率、腎不全死亡率、自殺率、周産期死亡率、自然死産率が全国1位
という結果になっています。
新たに生まれてくる命の割合が全国で一番少なく、亡くなられる方の割合が全国で一番多いという、人口が減少していくとても分かりやすい状況です。
自然に人口を増やしていくというのは今やってる施策が成功したとして初産年齢の平均が30歳と仮定すると、今日生まれた子供が大人になって、そして子供を産んでとなるので、60年は非常に厳しい状況です。確実にやってくる人口減少を悲観するのではなく、予め対策を打っていくといいう視点も必要です。
古代ギリシアなどを舞台とする小説作家の塩野七生さんは、歴史的にみて成熟した社会では少子高齢社会となるとしています。私もこの点に関しては同じ認識です。古代ギリシアやローマ王国でも成熟期には同様の事が起きたそうです。どのように改善したかといえば、若者への支援を徹底的に行ったからだと塩野さんの小説に書いていました。
日本も真剣にそのような取り組みが必要ではありますが、現状の政治システムではなかなか勇気のいることなのかもしれません。
このような視点に立ち考えると、がん対策、脳血管疾患対策、自殺対策に関しては先輩たちも長年取り組んでいるので、私は周産期死亡率と自然死産率の改善に向けて拘ろうと考えています。
周産期死亡は一般的に母体に発生する病態が多いと言われていますが、秋田県の周産期死亡率は5.5で先ほども書いた通りトップです。一番低い三重県は2.0なので2倍以上の差がついています。
自然死産率は14.5で2位の徳島県(12.1)との差でも2ポイント、47位高知県(6.9)の差は倍以上の差です。
母子保健の充実に努め安心して生み育てられる環境の整備が急務です。
各県各国の対策などを論文で調べてみたら、今は下位にいる県も数年前までは上位にありました。母子保健衛生の正しい対策を講じる事で改善出来ています。
例えば、三重県は2016年の周産期死亡率でワーストだったのが2019年には最も低くなりました。
他にも、高知県、和歌山県なども十数年前まで上位にいましたが、改善されています。
人口比比較や医療提供体制がどの様になっているかまでは調べていませんが、どの県も人口規模や医療提供体制に関わらずに行える取り組みを中心に沿えています。
秋田県も決して取り組んでいないわけではありません(むしろ改善をしようと頑張っています)が、現実問題としてなかなか改善の兆しが見えないというのが現状です。
今日の委員会では改善に向けて、周産期医院間の連携の強化と情報共有、早産防止のための母体管理の徹底、各種研修の支援などを提案しました。
他都市のように秋田県も必ず改善できます。妊産婦さんが心から安心して子どもを産める環境を整えるためにも、そして一人でも多くの命を救うためにも注視していきます。