BLOG

  • 6月議会一般質問〜イージス・アショアに関する防衛省の調査について〜

    2019.06.14

    最後に、イージス・アショアの配備に関する防衛省の調査について、知事にお伺いします。
    五月二十七日、知事と秋田市長に対し、防衛省よりイージスアショアの配備に関する調査結果の報告がなされました。更に、今月五日には、県議会、秋田市議会に対しても報告が行われました。現在行われている住民説明会では、しっかりと住民の理解を得られるように、防衛省には誠意ある対応をお願いしたいと思いますが、現状を見ているととても誠意ある対応だとは言えません。
    この、イージス・アショアの配備ついては、県や市だけの問題ではなく、国全体の問題であり、同時に世界の問題でもあると考えています。国有地にどのような防衛設備を建設するかは、国の専権事項ではありますが、秋田県、
    秋田市がどのような姿勢を示すのかということについては、日本中が注目しています。

    専守防衛を基本とする我が国にとって、その場所は別として、イージス・アショアの配備で得られるものは大きいものと思っています。
    防衛施設があれば真っ先に攻撃されるという見方もありますが、そもそもそうならないための施設であり、万が一にもそのような状況になった場合には、それは既に戦争状態であり、日本の中でどこが安全で、どこなら安心に暮らせるという話ではないのではないでしょうか。
    また、テロの標的になるという懸念もありますが、テロは、一般市民をターゲットに、恐怖を植え付けるなどの混乱を生じさせることなどを目的として行われているものです。テロに対しては、イージス・アショアとは関係なく、国として備えておくべきです。空港やカフェ、ライブ会場もテロのターゲットとして狙われているということを忘れてはいけ
    ません。

    私の地元土崎は、陸上自衛隊の駐屯地に接しており、仮に戦争状態になったときは、決して安心できる環境ではありません。
    しかし、これまでの自衛隊への信頼に加え、これからの防衛省の誠意ある対応があれば、こうした不安が解消されていくものだと思いますので、しっかりと説明責任を果たしてもらいたいです。
    米朝首脳会談が行われ、北朝鮮の非核化に向けて融和的な動きが見られていましたが、北朝鮮が現体制の維持を望む限り、いつミサイル問題が再燃するかわかりませんし、実際問題としていわゆる「飛翔体」が発射されています。
    仮に世界が北朝鮮の体制を保証するとして、拉致問題や、北朝鮮の国民の人権問題などについても、日本の平和と世界の平和を願う我々は考えていく必要があります。
    しかし、まともな説明もなく、様々な憶測が先行している現状を見ていると、一秋田市民として、そして子育て世代として、不安を覚えるのはごく自然なことだと思います。国防の議論は、日米安保、日米合同委員会、沖縄の基地負担、憲法上の日本の防衛体制など、総合的に考えていかなければいけない問題であり、すぐに解決できる問題ではありません。
    このイージス・アショアの配備の報道がなされてから、私は毎日、どのような道筋をつけるのが一番いいのか、子供たちの顔を見るたびに本当に悩んでいます。
    地方議会にできることには限界がありますが、できることも多くあります。私は、感情論ではなく、客観的な事実を積み上げていくために、次の三つのことが重要であると考えています。
    一つ目は、昨年六月に防衛省の方針が示されてから選定に至るまでのプロセスの明確化です。
    防衛省が、地元の理解が重要としている中、どういったプロセスで秋田市が最適候補地として選択されたのか、議論が尽くされた上で選定されたのかといった情報は、地元の理解を得るためには欠かせない要素だと思います。
    私はこれまで、我が国におけるイージス・アショア配備の必要性について、理解を示してまいりました。しかし、先般、他の候補地との比較に関するデータの誤りが判明するなど、その配備の必要性を訴えてきた私でさえ、防衛省の説明は不十分と言わざるをえず、秋田市が最適候補地だという判断に至ったプロセスは、明確とは言えない状況だと思います。
    二つ目は、今後の調査の結果、イージスの安全な配備が可能とされたとして、周辺の事業活動との調整を誰がどのような形でするのかを明確にしてもらうことです。
    平成二十六年度から平成三十年度までの五年間で、ドクターヘリが秋田赤十字病院を出動した回数は、一、四五五回に上り、このうち、秋田市沿岸付近をヘリが通過する可能性がある男鹿地区消防本部からの要請に基づく出動回数は、五年間で三六七回、年平均七三回です。県民の不安を払拭するためにも、こうした県民の安心・安全に関わる活動に制限が生じないよう、関係機関との連携・調整は、国においてしっかりと行うべきです。
    仮に、有事の際は、ドクターヘリに限らず、全ての航空機の飛行は制限されるべきと考えますが、そうした際の運用に関する詳細な情報の提供は、十分であるとは言えません。
    三つ目は、地元の理解と協力とは何なのかを明確にすることです。
    この「地元の理解」とは何か。これまでの全員協議会でも、住民説明会でも明確な答えがなく、残念に思っています。「理解とは何か」という問いに対して、「理解を得られるように努力する」では答えになっていません。今後、丁寧な説明が求められる場面であのような回答が繰り返されるのであれば、消極的ながらも配備に理解を示す人たちも反対に回ってしまうのではないかと危惧しています。配備に理解を示している私のような人たちこそ、これを明確にしてもらい、逃げずに議論を重ねていく必要があるのではないでしょうか。
    そこで、イージス・アショアの配備に関し知事にお伺いします。先般、防衛省から示された調査結果は、ご自身として納得できるものだったのでしょうか。また、改善の余地があるとすればどのようなものでしょうか。知事のご所見をお伺いします。