次に、航空機システム電動化についてお伺いします。
秋田県では、県内企業の航空機業界への参入を促進するため、平成三十年度から航空機電動化に取り組む県外大手企業と共同で研究・開発を行う県内大学や企業を支援しています。
昨年度は、航空機システム電動化をテーマとして内閣府の「地方大学・地域産業創生交付金」に応募し採択されました。
これは、システム電動化の研究・開発を行う大学や企業を支援することで魅力的な大学や企業を創生し、大学入学者の確保や大学卒業生の県内就職を促進するという目的を掲げた計画で、令和五年度までに、総額約一六億円の事業費を見込むビックプロジェクトですし、技術革新を生み出す可能性が大いにあります。
具体的には、電動化に必須の部品であるモーターの研究開発を進め、将来的にはモーターの量産を県内企業で実施するという内容ですので、温室効果ガス削減のため航空機電動化だけでなく電気自動車や自然エネルギー発電等様々な分野への展開が期待される事業であると認識しています。
カーボンニュートラルの観点からも将来に希望が持てる取組ですので、是非県内への経済波及の方策を進めていただきたいです。
モーターはいくつもの部品で構成されているとお聞きしますので、なるべく多くの部品を県内企業が製造できる体制をつくり、県内経済への波及を促進してほしいと考えますが、現在の状況について産業労働部長に伺います。
また、このようなプロジェクト型の事業を成功させるためには、実際に走りながら、状況変化を素早く察知し柔軟に対応する姿勢が必要です。
長期的な視点が必要な事業ですので、進めていく中で「研究に欠点が見つかる」、「参加している企業が経営悪化により継続が困難になる」など、必ずしもプラスとは言えない事態が生じる可能性も十分にあります。
最悪の事態を想定し、プロジェクト自体を成功させるための対策をあらかじめ取っておく必要があるのではないでしょうか。
事業計画には、「目的」や「目標」、「手段」が記載されますが、最も大切なのは「目的」であり、この事業においては、「魅力的な大学や企業を創生し、大学入学者の確保や大学卒業生の県内就職を促進する」ことであると認識しています。
それを達成するための手段は、常にPDCAサイクルを回し、状況に応じて柔軟な変更をしていくことです。
時代や社会状況が刻々と変化します。
本事業では、どのように状況変化を察知し、手段変更を検討される体制を取っているのか、また、どのようにPDCAサイクルを回しているのか、産業労働部長に伺います。
答 弁
この事業については、現在、「電動化システム共同研究センター」の来年四月の開設に向け、秋田市雄和の旧種平小学校の改修を進めており、今後、モーター性能評価装置等を整備することにしております。
また、県内外の企業等からの問合せ窓口となる「コラボレーションデスク」の運用を開始するとともに、横手市のアスター社屋内にサテライトラボを開設し、研究者や学生が共同して研究開発を進めております。
県内企業の参画については、これまで一〇社が役割分担しながら、共同受注に向けて取り組んできており、今後センターの本格稼働に伴い、新たな参入が見込まれているところであります。
産業人材の育成については、事業責任者である元トヨタ自動車幹部等による「世界に通用する一流の仕事術」をテーマにした連続講義を五回開催し、
五〇〇名の参加者を予定しております。
本事業については、これまでも、毎月開催される各研究分野の実務者による進捗会議において、各項目の課題を解決するとともに、四半期毎に企業支援機関や金融機関等で構成される運営協議会でプロジェクトの方向性を確認してきているところであり、今後とも、関係機関との情報共有と緊密な連携により着実に推進してまいります。