秋田県の周産期死亡率についての現状について
1・現状
本県では、周産期医療の専門家や県医師会のほか、消防関係者等による県周産期医療協議会が中心となり、迅速に救急搬送につなげる体制の構築をはじめ周産期死亡を回避する方策の検討等を進め、その減少に努めてきた。
なお、令和元年度の周産期死亡数は10年前の平成22年と比べ約6割の26人であるが、出生数は約7割に減少する中、周産期死亡率は、平成28年以降高い状況にある。
2・分析
周産期死亡率の改善を目指し、平成21年度から周産期死亡実態調査を毎年度実施。本県では後期死産が多く、周産期死亡率の高さに影響を与えてきた。
(1)後期死産(妊娠満22週〜出生まで)
ほとんどが対応困難な症例(臍帯因子、染色体異常、先天性疾患等)
(2)早期新生児死亡(出生〜1週間未満)
症例は染色体異常、先天性疾患など
3・対応方針(秋田県医療保健福祉計画、周産期医療抜粋)
(1)正常分娩等に対し安全な医療を提供する体制
・産科医療機関の運営を支援し、地域の周産期医療体制の確保を図る
・関係する医療従事者に対し、必要な専門的、基礎的知識、技術の習得機会の確保を図る
・救急搬送における消防機関と医療機関との連携の充実を図る
(2)周産期の救急対応が24時間可能な体制
・総合周産期母子医療センター。地域周産期母子医療センターの運営や設備整備を支援し、円滑かつ効率的な運用及び医療機能の高度化を図る
・三次医療機関において医療機能に応じた適切な医療が提供されるよう、広域的な連携体制の強化を図る
4・周産期死亡減少に向けた取組(令和2年度)
(1)産科医療機関確保事業(北秋田市、雄勝中央、市立角館)
分娩取扱施設が少ない地域の産科病院への運営支援
(2)周産期医療調査・研修事業
周産期死亡の改善を図るため、次の取組を実施
①周産期死亡の実態調査
・個別の症例について、各医療機関から調査票、ヒアリングで調査し症例検討会を経て報告書として取りまとめ、周産期医療協議会で共有
②周産期医療従事者研修
・秋田大学のネットワークシステムを活用し、県内5箇所の病院を双方向に中継した遠隔テレビ会議を開催し、講師を招いての勉強会や症例検討会を実施(年12回)
・県内の周産期医療に携わる医師、助産師等を対象とし、周産期救急医療の実技研修会を実施(年1回)
(3)総合周産期母子医療センター運営費補助事業(秋田赤十字)
ハイリスクな妊婦、新生児への専門医療の提供を支援
(4)地域周産期母子医療センター運営費補助事業(大館市立、秋田大学、平鹿総合)
比較的高度な医療提供や24時間体制での周産期救急医療提供を支援
(5)設備整備支援
総合周産期母子医療センター設備整備(秋田赤十字)
5・三重県の取組
三重県の周産期死亡率は平成22年〜27年は3.8〜4.4と全国並みで推移してきたが、平成28年は全国最下位の5.6となったことから、県医療審議会周産期医療部会を中心に対応を検討し平成29年度から次の取組を行っている。
・症例検討会の開催による死産、新生児死亡症例の検討
・周産期医療関係社が一堂に介する
「伊勢の国セミナー」の開催