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  • 妊娠届の大幅な減少と秋田県の対策

    今日の新聞で衝撃的な数字を目の当たりにしました。

    厚生労働省の発表によると、今年の5月から7月まで全国の自治体が受理した妊娠届は、去年の同じ時期より11%近く減少しました。特に5月は減少幅が大きく17.1%と新型コロナウイルスの感染拡大が影響した可能性があると見ています。
    3月に自粛などが本格化しましたが、妊娠届は妊娠から2ヶ月後の届け出が多く個人的にも影響を受けているとしか考えられません。
    ちなみに秋田県では平均値3.4%の減少に止まっていますが、7月だけの数字を見ると昨年度比で15.1%と大幅な減少となっています。今後発表されるものを注視しなければいません。
    自粛が本格化した初期の段階から、里帰り出産者をする方及び県内の妊産婦の希望者へのPCR検査拡充や、妊産婦さんの不安に寄り添うための相談体制の強化などを要望し、秋田県も力を入れてくれました。
    感染が広がり始めた頃から妊産婦さんの新型コロナウイルス感染症の重症化リスクは問題視されていていましたが、妊婦さんの重症化リスクは新型コロナウイルス感染症に限らずインフルエンザも麻疹も重症化しやすいです。
    経済的な支援も当然必要になってきますが、妊産婦さんにとっては精神的な支援体制、相談体制も欠かすことはできません。日頃、不安回避のためのPCR検査は不要であると述べていますが、この点に関しては少しでも不安を取り除けるのであれば積極的に行うべきですし、県も対策をしてくれています。
    大切なことは、何度も書いているように「正しく怖がる」ことに尽きます。コロナ禍でも様々な面で安心して妊娠出産できるよう引き続き注力します。

    このように突発的な問題で出生数、出生率が大幅に低下してしまうのは、喫緊よりも20年後30年後に大きく影響が出てきてしまいます。そちらの影響もどのようなものがあるのかを慎重に分析していかなければいけません。
    新型コロナウイルス感染症対策は、目の前の感染を防ぐ・拡げないものと、感染症の自粛などに伴う経済対策が中心となっていましたが、安心して妊娠出産ができるような長期的な視点も不可欠になります。また、感染症は新型コロナウイルスだけではなく、これからも新たな感染症が発症する可能性も否定はできず、科学誌などを読んでいると気候変動や砂漠化、グローバル社会への急激な進展などにより今後も脅威となりうるものです。
    平時からリスクコミュニケーション教育を充実させ、諸問題を想定し対策できる人を増やしていかなければ根本的な問題の解決にはつながらないと思っています。
    何度も何度も言っていますが、新型コロナで失ってしまうベネフィットも勘案しながら進める社会にできるよう頑張っていきます。

    ちなみに、今現在日本中の最大の課題となっている少子問題ですが、初めて問題提起がされたのは40年以上も前のことです。初めて問題提起がされてから30年以上経った約10年前からようやく全国で本格的な対策を打ち始めたわけです。
    今回の大幅な減少が日本全体の人口問題を考える最後のきっかけになるかも知れません。今後は財政もさらに逼迫してきます。そんな中で、ある程度の集中投資は必要になってきます。
    その際は今の子供たちやこれから生まれてくるであろう子供たちが希望を持てるように、多少痛みを伴ったとしても子ども子育て施策を最優先にしていかなければいけません。

    さて、妊娠出産と直接的な因果関係は全く分かりませんが、国外ではステイホーム中のDVや虐待が増加しました。休校や自粛が始まってすぐに対策をお願いし対応をしてもらいましたが、こうした相談支援体制を強化することもコロナ禍での安心安全な出産を考える上で重要であると感じています。