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  • イージス関係の請願陳情に賛成しなかった理由。

    2017.12.25

    こんにちは。秋田市議会議員の宇佐見康人です。
    12月22日で11月定例会が終了しました。最終日は補正予算に対する賛成討論、反対討論の他に、イージスアショア配備に関する請願・陳情の採択・不採択について賛成討論、反対討論も行われました。

    イージスアショアの配備については私の過去のブログでも述べていますが(内容は以下のリンクを参照ください)、【請願15号 地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の秋田市への配備反対に関する決議について】と【陳情69号 地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」配備に係る事実関係の説明及び情報開示に関する意見書の提出について】はそれぞれ反対をしました。

    陸上型イージスの配備を秋田に??

    事実と感情は分けて議論をすべき。

    11月定例会での各議員の賛否状況

    今日は、同請願と陳情に対して反対した理由を述べます。また、直前までは請願に対しては反対、陳情に対しては賛成の立場でしたが、討論を聞くうちに自分の信念を曲げて賛成をすることに抵抗があり陳情にも反対をしました。

    本来であれば、私も討論で賛成反対の意見を述べるべきなのでしょうが、会派で私のみが採択に反対であり会派すらまとめることが出来なかったのでこの場での意思表示とさせていただきます。
    また、イージス・アショアの配備を日本国内に配備すること自体に反対という人、日本国内に配備するのは賛成だが秋田市に配備するのが反対な人、積極的に配備を検討するべきだと考えている人、様々な考えを持っている人がいますが、感情論やポジショントーク先行ではなく、事実に基づき判断をしなければいけません。
    まず前提として、同請願及び陳情はタイトルだけではなく全ての文面を読み判断をしなければいけません。

    【請願15号 地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の秋田市への配備反対に関する決議について】

     核開発の廃止を求め、経済制裁を強化する国際連合の決議に背を向け、核実験を繰り返す朝鮮民主主義人民共和国が実施する、弾道ミサイルの開発に伴うたび重なる発射実験により、我が国周辺が危機にさらされているとして、日本政府はことし9、函館市に地対空誘導弾ペトリオット(PAC-3)を配備したことに次いで、従前よりその導入を検討してきた地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の配備先の検討に入り、その配備先の有力候補地として秋田市も検討されているとの報道がなされております。検討とはいえ、この配備計画は私たち秋田市民30万人の命を盾とするものであり、この配備は決して容認できるものではありません。
     米国によるイージス・システム開発のきっかけは、太平洋戦争末期、日本軍が実施した特別攻撃に対処するためとされており、イージス・システムはそのため、米国海軍にとって防空戦闘を重視して開発された艦隊防御の一システムで、また、そのシステムの名称「イージス」はギリシャ神話に出てくる「盾」に由来すると言われております。
     また、弾道ミサイル防衛に際し、備の性能として、イ‐ジス・システムは慣性飛行に入った後のミッドコースフェイズをねらい、地対空誘導弾ペトリオット(PAC-3)は落下時のターミナルフェイズをねらうとされており、我が国へのミサイル攻撃がなされたと想定した場合、その軌道は「ロフテッド軌道」になると推定されており、専門家の間では、その場合イージス0システムでは効果は期待できないと言われております。
     一般的に、その原因が偶発的要因であるかないかにかかわらず、戦闘行為が発生した場合、近代戦において軍事戦略的にはまず目を使えなくし、次に盾を破壊することが順序です。
     本県においては既に、男鹿市に航空自衛隊が「目」として運用する全国28のレーダーサイト網の一拠点として、J/FPS-3改を装備する北部航空警戒管制団第33警戒隊が配備されております。それに加え、現在、日本政府が検討している「イージス・アショァ」の秋田市への配備が実施されると、この狭い地域に「目」と「盾」が配備されることになり、有事の際、紛争当事国からこの地域への核を含むあらゆる軍事オプションをもって攻撃されることは、軍事作戦上当然のことと言わざるを得ません。
     秋田市議会は、昭和59年12 24日「非核平和都市宣言に関する決議」をしております。しかし、「イージス・アショア」が配備されることにより、紛争相手国からの攻撃を誘発することになり、さきの秋田市議会の決議に背意することとなり、それを回避する必要性を強く望むものです。
     以上のことから、秋田市議会として多くの市民の思いを重く受けとめ、地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アシア」の秋田市への配備反対に関して、決議くださるよう請願いたします。

    おかしいことをおかしいと言う会 代表世話人 佐藤尚武 

    上記請願に対しての反対理由ですが、そもそもイージスアショアの配備をすることが1984年12月に議会で決議された「非核平和都市宣言」に背意していると判断することが出来ません。非核平和都市宣言は以下の通りです。

    非核平和都市宣言に関する決議
    世界の恒久平和は、人類共通の願望である。
    しかるに、米、ソ超核大国による核軍拡競争は拡大均衡をめざすという口実でますます激化し、世界の平和と安全に重大な脅威と危機をもたらしている。
    わが国は、世界唯一の核被爆国として広島、長崎の惨禍を再びくりかえしてはならない。
    そのためには平和憲法の精神にのっとり、国是である「非核三原則」を将来ともに厳格に遵守すべきである。
    さらに、土崎空襲の悲劇を体験した秋田市は、あらゆる国のあらゆる核兵器の廃絶、核兵器全面禁止を全世界に強く訴え、同時に秋田市を核戦争の惨禍にまきこむような動きを未然に防ぐため全力をあげるものである。
    ここに秋田市は市民の総意を結集して「非核平和都市」の宣言を行うものである。

    右決議する。
    1984年12月24日
    秋田市議会

    古い資料を出してもらい、この議決に至るまでの経緯などを調べましたが、この議決も様々な政党の思惑が絡み合い、細かい文言を修正しています。
    今回の請願は「反対の議決」であり、感情による意見ではなく、あくまで事実に基づき反対の決議ができるかどうかを判断するべきです。また、そもそも秋田市に限らずイージスアショアの配備自体に反対しているから秋田市への配備を反対しているわけではないという説明を受けましたが、日本全体の防衛を考えた時、日本への配備自体を反対するというのはあまりにも無責任な姿勢と言わざるを得ません。
    仮に、秋田市だけに配備を反対するのであれば、では男鹿市ならいいのか、青森ならいいのか、新潟ならいいのか、そういった点も考えなければいけません。
    また、請願の文章にも書かれていますが「秋田市民30万人の命を盾とするもの」という表現も違和感があります。
    戦争をしないというのが我々政治家に課せられた使命ですが、仮に、偶発的にでも戦争状態となった時に日本国内に100%安全な場所など存在しません。また、秋田市には陸上自衛隊の基地、航空自衛隊、そして近隣の男鹿市にはレーダー基地も存在しています。
    イージス・アショアが配備されれば一番最初に攻撃されてしまうというという考えも分からなくはないですが、一番最初に攻撃されるから反対というのは日本全体の防衛議論の題材としてはふさわしくないのではないでしょうか。
    市民の安心・安全を守るのは市議会議員として果たさなければいけないことですが、であれば、より事実にもとづいた判断をすべきであり、感情論で議論すべきではありません。
    大切なのは戦争を起こさせないということです。そのためには当然対話が必要となるのですが、北朝鮮や中国が攻撃力を増す中で日本が果たすべきことはアメリカに頼らずに防衛できるシステムの構築にあります。
    日本が日本として我が国国民の生命、財産、国土、そして生活を守るためには防衛力の強化は重要であると考えています。
    日本国内において、戦争をしたいと思っている人はいないと信じています。そのためには、ポジションによる議論や、事実を無視した感情論による議論ではなく、戦争をしないさせないためにどうしたらいいかを議論しなければいけないのではないでしょうか。
    最後に、専門家とは誰でしょうか?反対する専門家もいれば、賛成する専門家もいます。私も、判断をするまでに一方の意見や考えを聞くのではなく、両面からの考えを聞き判断をしました。そもそも配備が不要であると考える専門家、配備をすべきと考える専門家、イージス艦だけで対応が可能であると考えている人。
    どちらか一方だけの意見を聞き判断をするのは正しい事でしょうか。私は違うと思います。

     

    【陳情69号 地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」配備に係る事実関係の説明及び情報開示に関する意見書の提出について】

     本年11に入り、地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の配備計画が大きく報道されました。しかも、秋田市の陸上自衛隊新屋演習場が候補地に絞り込まれたとの報道もあり、地域住民は不安を抱えながら日々を過ごしております。
     報道各社は、政府関係者への取材で配備計画が明らかになったとしています。しかし、各社の記事を子細に検討すれば、不明確かつ相矛盾する内容を含んでおり、調べるほどに逆に住民の疑念は強まるばかりです。
     そもそも、同演習場の周辺は住宅密集地となつており、幼稚園、小中学校、高等学校、高齢者福祉施設等も隣接しております。ここに地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」を配備することなど、非常識かつ不可能と言わざるを得ません。
     しかも、「イージス・アショア」の配備によつて最も影響をこうむるはずの勝平地区を初めとする西部地域の住民には、政府関係者からの説明は一切ありません。
     つきましては、地域住民の不安と疑念を払拭するため、地上配備型ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」配備に係る事実関係の説明及び情報開示について、国会及び関係行政庁に対して意見書を提出していただきますよう陳情いたします。

    イージス・アショア配備問題の真相解明を求める新屋住民の会 代表 佐藤信哉

    この陳情に対しては最後の最後まで判断を迷いました。しかし、あくまでも「事実に基づき判断をする」というのは政治家として重要なことだと思っています。
    討論を聞くまでは賛成でしたが討論を聞き反対をしました。その理由は、感情論が先行していたからです。
    また、防衛省は現段階で配備することは決定しましたが「配備先」を断定はしていません。あくまで報道ベーズでの情報であり、報道ベースで判断をすることはしてはいけないと決断しました。そのことは、賛成討論をした方も「まだ決まっていない」ということを述べていましたので、憶測や経験、勘に頼る決断は私には出来ませんでした。

    とは言え、配備先の候補地として正式に決まった際には、より強い姿勢で説明や情報を求めていくということにかわりありません。そしてその情報を元に市民の皆様に判断をしてもらうというのが我々政治家に課せられた選挙という使命なのではないでしょうか。おそらく、1年半後に迫った市議会、県議会の選挙でも争点の一つになると思っています。私が正しいと思う決断をし、しっかりと審判を仰ぎます。

    これから私が取るべき行動は、左右両面から集めた事実を皆様に開示していくこと、そしてそれを元に判断をしていくこと。
    そして国には、そもそも日本への配備が必要なのか、必要であればどのような土地がいいのか、そして配備先が決まった段階では秋田市に限らずなぜその土地でなければいけないのかを明確にしてもらえるように強い姿勢で求めていきます。

    市民感情を無視していると受け取られるかもしれませんが、日本全体の防衛を一政治家として考えた際に今回の決断となりました。
    ご意見などあると思いますので、下記アドレスご意見をいただければ幸いです。

    info@yasuhi10.com

    誰もが平和な世界を望んでいます。戦争を希望している人などこの世にはいないと信じています。ではなぜ戦争は繰り返されるのでしょうか。
    哲学者ハンナ・アーレントはナチスの戦犯裁判のレポートを書いた際にこのようなことを言っています。

    「考える事で人間は強くなる」

    同時に

    「悪は悪人が作り出すのではなく、思考停止の凡人が作る」

    とも教えてくれています。
    共に考えていきましょう。後で聞いてた話と違っていたとか、こんなはずじゃなかったと言わないためにも、今こそ政治への参加が求められているのではないでしょうか。